モノづくりとボランティアで育った環境
私は、モノづくりの好きな両親のもとで育ちました。犬小屋から家の塀、洋服やおもちゃ等、何でも両親と作って遊びました。
また同じ頃、母がボランティアで障害者施設に通っており、私も時々お手伝いをしていました。
そこで、出会ったのが福祉の道具です。見たこともないけれど、今そこにいる人がどのように使うもので、なぜ便利であるかが幼心にも理解できました。お店では売っていないものに希少な価値を感じたのを覚えています。

困りごとと 解決
大人になり、私は病院や施設に勤務し、そこでもたくさんの困りごとに出会いました。それは福祉の道具で解決できている物もあれば、まだまだ未解決の物も多くありました。その中で、自分で考えて創った応急的なモノでも意外とすんなり問題を解決出来た場面があり、困りごとは劇的に大きな変化をつけなくても、ほんの小さなアイディアで充分解決することがあると学びました。

ポロシャツのボタン
ある時、ポロシャツのボタンが出来なくて困っている人の為に、ボタンの周りに手を加えて掛け外しが簡単に出来るようにシャツを改善してみました。すると、その人はその場で成功する事が出来ました。これが現在の「楽勝ボタン」の始まりです。

不便な経験 
やがて両親は高齢になり、肩が痛くてモノづくりが出来なくなりました。着替える時も一苦労です。また、自分自身も利き手を骨折して不便な生活を強いられることがありました。着られる服も限られ、外出する気にもなれません。
以前から着脱しやすいシャツがないと感じており、私は、もう一度色んな店舗で探しましたがどうしても見つけられませんでした。

恩返し
長い間、時代を担ってきた両親とその世代の人には、これからも楽しむ機会を持ち続けてほしいですし、施設で出会った方のように何かしら着脱の不自由がある人にも、着替えが大変という理由で外出を諦めてほしくありません。出会いによって学んだことはたくさんあり、恩返しの意味も込めて誰でも着やすいシャツを創りたいと思いました。私にはその学びを形にするアイディアと実績があるのです。両親は後期高齢、着脱に困る高齢の方は他にもたくさんいらっしゃいます。創るなら早いほうがいいのは言うまでもありません。

商品
シャツを創るために縫製工場をあれこれ探し回った結果、親切で技術力のある東大阪の工場が相談にのってくれました。
知的財産の権利やその他、開業に関わる準備に向けて、インピット、産業局、商工会に度々相談し、ようやくネットショップ開設までに至りました。
相談していたお陰で様々な情報を得る事が出来ました。賞や認定を受けるなど、社会的に認められるようになったと言えると思います。 
もちろんこれがスタートであり、理念でもある「『難しい』をひとつなくす」為には限られた時間の中で、どのように効率よく商品創りをするのか、人と自分を合わせて行動していくしかありません。新たな商品「名札も楽勝!」「包んで楽勝!」を含めて、今後も温めてきたものを商品化し、ひとりでも1度でも多く喜びの笑顔を増やしたいと思っています。

活動 
SNSでの発信 (時々)
・Instagram
片手でチャレンジという動画を作成しています。
片手が不自由な方は多く、生活の動作で困る場面が多くあります。小さなアイディアでも役立つ可能性を信じ、日常的な動作(爪きり、調理など)を片手でチャレンジする動画等を投稿しています。
・X
お昼休みに投稿
困りごとは、身体的な動作だけではありません。 例えば、寂しい思いをしながらお昼ご飯を食べている人もおられます。以前、「便所飯」というのが社会問題になりました。大学生や若い人が、一緒にご飯を食べる相手がいないために、仕方なくトイレの個室でお弁当を食べているというものです。また、始終誰かをケアしている人や体調の悪い人は、ひとと楽しく食べること自体が難しいと思われます。お昼の時間帯にスマートフォンを見て少しでも肩の力が抜けるなら、気持ちがふわっと緩む投稿をしたいと思っています。まだまだ全然届いてなくても、共感を得て同じように志す人が増えればちょっとしたコミュニティの誕生も可能では、と考えます。

小さなアイディアを活かして、みんなで小さな一歩を踏みだしたいです。